グレイディーアの欲6

 ◇ ◇ ◇

 うがいをし、水を飲み、二人でベッドの上で安らかな時間を過ごした。
 服を脱ごうとしたが、それを止められて若干困惑もした。ドクターがそうしてほしいというのなら受け入れるが——胸と股間だけを晒しているのは、少し落ち着かない。

 何かを話すわけでもなく、グレイディーアはドクターの腕に抱かれ、時折キスをし、微笑み合う。
 ドクターの体温と心音を感じられることが、幸せだと思った。

 しばらくそうしていた後、ドクターはグレイディーアに跨り、両手で胸を触って来た。慣れない手つきながらも、それが心地よい。
 乳首を摘まれると、躰が強張ってしまうし、声が出てしまう。
 情けない声を出してしまうのが、少し恥ずかしい。
「んぅ……、ドクター、あまり、そこは……」
「乳首、気持ち良いの?声がすごく可愛いし、硬くなったね」
 親指と人差し指で、乳首を摘まれ、転がされる。力は強くないのに、その刺激が全身に伝わってきて、思わず腰がひけてしまう。
 ドクターは胸にキスをし、乳頭を舐めて来た。熱くぬるりとした感覚と、舌の焦ったい動き。
「んっ!あ、あ……」
 自分で自分を慰める時に唾液で指を濡らすが、こんな風に感じたことはない。
「ドクター……ふふ、あかちゃん、みたいですわ、んっ」
 頭を撫でていると、大きな子供をあやしているような感じがする。
「赤ちゃんはこんな舐め方しないだろ」
 つぷ、と膣内からだに細いものが入る感覚が走った。
 ドクターの指は男性らしい、骨張ったものだった。
 決して男性らしさを感じたことがない訳ではないが、自分の指とは違った感触は、異性なのだと強く意識してしまう。
「あ……、んんっ」
 指が膣の上の壁を何度も押し上げてくる。強い刺激ではないものの、いつもよりも——一人でする時よりも気持ちが良かった。ドクターに触られていること、指が動く度にくちゅくちゅと音が立つこと、乳首を舐められ、吸われていることが、こんなに刺激になるとは思ってもいなかった。
「ドクター……、私、もう……」
 達しそう、と言おうとしたところで、尻の方に温かいものが流れて来た。ドクターが指を動かす度、ぐじゅ、ぐじゅと音が鳴る。
「あッ……!んんッ」
 絶頂を迎える前に潮が噴き出して行く。指を激しく動かされている訳ではないのに、ドクターの指の動きに合わせてどんどん漏れていく。
 とんだ痴態を晒した、と思ったら、より興奮してしまった。目が開けられなくなり、躰が緊張して、強く歯を食い縛る。
「ドクターっ、あっ!あぁ、イクッ!——あああっっ」
 ぎゅうっと、躰中に力が入る。閉じた目の中で光がチカチカと瞬き、何も考えられなくなる。
 ——こんなに、気持ち良くなれるとは

 躰が落ち着き始め、ようやくドクターのことにも気がまわるようになった頃、そのドクターはグレイディーアの脚を広げて、股間を押し付けようとしていた。
「……っ」
 愛液と潮でぐしょぐしょに濡れた膣口に亀頭がつく。
 さっきとは違う。達したばかりの膣内なかに、好きだと言ってきた男性ひとが入ってくるのだ。
「んんっ」
「あぁ……、ぐれい、でぃーあ……」
 ずぶずぶと、肉壁を掻き分けて侵入してくる異物は、奥まで入って来たところでぴたりと止まった。
「ごめん、優しく、出来ないかも……」
 息を整えながらドクターは言った。
「……ふふ、そんなこと、気になさらなくて、良いのですよ」
「——っ!」
 肉棒がずるっと出て行く感触がしたあと、またすぐに奥まで入って来た。
 ギシっとベッドが軋む音、ぱちゅっと水が弾け飛ぶ音、腰と腰がぶつかる感じ——
「あ゛っ——!あっ、あっ、あっ!あぅ!」
 急に来た激しい快楽に、思わず声が漏れてしまう。
 ドクターのペニスがグレイディーアの膣内を何度も擦り上げる。
 ペニスを抜かれると、中身が持っていかれそうになる。カリが上の壁を引っ掛けてくるからまた潮を噴きそうになるし、奥まで突かれると膣の中がいっぱいになり、これも膀胱を刺激してくる。
 潮を漏らさないように下半身に力を込める。が、締め付けるとドクターの肉棒の形を強く感じ取れるし、抜かれた時により排尿感が強くなる。
 かといって力を抜いても、漏れそうになってしまう。
 腰の位置を変えようと動いてみるが、それも上手くいかない。何をしても気持ち良くて、我慢など無意味だった。
「あっ、ドクター……!また、出てしまいます……っ!」
「ん、いいよ。いっぱい出して」
 ドクターはグレイディーアの気も知らずに、遠慮なく腰を打ち続けてくる。何度も腰を振り、自分の躰のなかを愉しんでくれている姿が愛おしいのに、それを堪能する余裕が持てない。さっき挿入した時は、こんなこと感じなかったのに——

 じょろっ、と音を立てて勢いよく潮が漏れた。
 ドクターは一瞬腰を止め、グレイディーアが漏らすところを一瞥した後、再び腰を打ち付け始めた。唇を重ね、舌を舐め合い、全てを求め合うような激しいキス。
 我慢など、もう出来なかった。
「ああっ!あ!ドクター!とまっ……、て……!」
 奥を突かれる度に、漏らしてしまう。着ていてと言われた服も、シーツも、グレイディーアの潮でびっしょりと濡れていく。
「あ、はっ!はぁっ、はっ——もう、いく……っ!ドクター、いきますっ……!」
「俺も、もう……」
 二人はぎゅっと抱きしめ合い、唇同士をぴったりとくっつけ、同時に絶頂を迎えた。
 ペニスから吐き出される白濁液は、数度の絶頂を迎えたにも関わらず勢い良くグレイディーアの中に注がれていく。ドクターはぐいぐいと腰を押し付けて来て、それが更なる快楽を呼ぶ。
「——っ、ぁ、——っは……っ」
 声が出ない。こんなに気持ち良いのは、初めてだ——

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