グレイディーアの欲4

 ◇ ◇ ◇

 まさか陸にいる人間に夢中になるとは思わなかった。知性がない、脆く弱い存在。それが陸に棲む者たちへの印象だったし、それは今も変わらない。だからドクターを想うなど、想像だにしていなかった。
 ドクターを傍に置いておきたい、誰のものにもなってほしくないと、強く思ったのはいつ頃からだったか——
 ある日、執務室に入ろうとドアに手をかけた時、ドクターの切ない声が聞こえてきた。そっと覗くと、チェアにもたれかかり、懸命に腕を動かし、息を荒げているドクターが見えた。何をしているかすぐに察したが、自慰行為が終わるまで、そのまま覗き続けてしまったのだ。
 用事も忘れ自室に戻ったあと、ドクターの姿を思い出しながら必死になってクリトリスを弄ったのを覚えている。溢れる愛液をクリトリスに塗り、何度も絶頂を迎えた。
 それから何度か、ドクターの自慰を目にすることがあった。その度に私も自慰をしたし、たまにドクターがいない執務室でしたりもした。

 ドクターの情欲を、私が解消したい——


 ◇ ◇ ◇

「ふふ、さすがに疲れてしまったみたいですわね」
 ベッドへ移動し、シーツの上でぐったりするドクターの頭を撫でる。ドクターの顔はずっと赤いままだし、瞳は潤んでいて、とても可愛らしい。戦場で指揮をする人と同一人物だとは到底思えない。
 ペニスは絶頂に満足したのか、柔らかくぐったりとしている。それでも精力剤の効果か、いわゆる半勃ち状態だ。
 ピンク色の亀頭に、そっと唇を寄せてみる。ちゅっ、とキスをすると、ドクターの躰が少し反応した。ちゅ、ちゅ、と亀頭に優しくキスを何度もする。
「あ……、グレイディーア……」
 切ない、そして嬉しそうなドクターの声。悦んでいると思うとこちらも高揚してくる。
 再度亀頭にキスをし、そのまま口の中へ誘う。裏筋を入念に舌で舐めながら、少しずつ竿を飲み込んでいく。
 ちゅる、ちゅる——ぺちゃ、ちゅぷ……
 ゆっくり、ゆっくりと舌を動かし、水の音をわざと立てていく。徐々に舌に力を入れ、顔を上下させる速度もあげていく。
「ん……、あ、それ、気持ち良い……」
 丁度心地よい速さと強さなのか、ペニスはむくむくと大きさを戻し始めてきた。
「んふ」
 ドクターの顔を見ながらフェラチオをするのは少し恥ずかしかったが、ドクターの切なさそうな瞳で見つめられることが、何よりも嬉しかった。
 気付けばペニスは再び硬さを取り戻し、ドクターの呼吸も荒くなっていた。

 また射精してほしい——
 ドクターの子種をまた飲みたい——

 そう思いながらペニスをしゃぶっていると、ドクターの顔が歪み始めた。同時にペニスも硬さを増し、そろそろ限界が近いのだなと理解わかった。
 ドクター、我慢しなくて宜しいのですよ——たくさん射精しましょう
「グレイディーア、そろそろ……」
 もう射精することに抵抗がなくなったのだろう。ドクターは目を瞑り、下唇を噛んで下半身に意識を集中させている。
「ああっ……、射精るッ……!」
 ペニスが強く脈を打った。
 一瞬遅れて、尿道口から白濁液が勢い良く飛び出してくる。顔と舌の動きを止め、吐精する脈に合わせて精液を喉に流し込む。二度目だが、濃く、量も多い。
 ごくりと飲み込む度に喉に絡みついてくるようだった。

「あ……、ああ、グレイディーア……。凄い……飲んで……。って、ちょっ!」
 射精が終わったので、フェラチオを再開した。
 尿道に残った精液を搾り取るように唇に力を込め、舌で竿を根本から強く扱き上げる。頬を窄め、中のものを全て吸い出していく。
 じゅるっ!じゅずずっ!ぐぽっ、じゅぼっ!
 自分がどんな顔をしているか考えると滑稽だったが、ドクターのペニスを強く吸い上げると、ドクターの甘い声が脳に響く。
 力を調節しないと痛がってしまうだろうから、加減が難しいと思っていたのだが……。
「あっ♡あっ♡グレイディーア、すごい、それっ、気持ち良いッ!ああっ、いいっ」
 ドクターはとても気持ち良さそうにしている。
 もう少し強く、もう少し強く……と、力を加えていったが、痛がる気配がない。射精直後だから敏感になっているはずだなのに。力を込めても、ドクターは気持ち良さそうに喘ぐばかりで、痛がるそぶりを見せない。
 それなら思う存分奉仕出来るというものだ。
 わざと音を立て、尿道のその奥に溜まっているものを全て飲み込むように、吸い上げる力を強くしていく。じゅぼじゅぼという唾液が吸われる水音、ドクターの熱のこもったいやらしい声、ベッドが小さく軋む音——
 夜も更けた静かなロドスに全て響いているのではないかと思うくらい、ドクターの部屋は色んな音に溢れている。
「ああっ——グレイディーア、またっ、でるっ……、射精るッ——!」
 いうや否や、びゅくっ、とドクターのペニスが脈打ち、再び吐精が始まった。何度も達しているのに、はじめて出したのではないかと思うような量の精液がグレイディーアの口の中に放出される。
「あ……、あぅ……」
 全身で呼吸をするドクターを見遣りながら、ペニスから顔を離す。
 こんなにぐったりして、なんて愛らしい——
 そう思いながら、口を小さく開け息を吸い、鼻からゆっくりと吐く。生臭く、でもどこか懐かしさを感じる匂いがグレイディーアの顔にまとわりつく。精液を口の中でたっぷり堪能したあと、ゆっくりと喉へ流し込む。これを、躰の中に注入れてほしい——

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