グレイディーアの欲5
◇ ◇ ◇
ドクターは連続での絶頂のせいか、ずっとベッドで息を乱していた。しかし、射精後は萎えていたペニスも、少し経てば再び血液を集め、怒張していく。医療班からもらった精力増強剤は、どこまで効くのだろう。
「まだ、出せますわね?」
疲れ切っているドクターに馬乗りになり、ケープを外して胸をさらけ出す。全てを脱ぐ時間が惜しく、力任せに股間周りの布を引き裂いた。ビリビリと耳をつんざくような音に、ドクターは驚いたようだか、目はグレイディーアの腰まわりに釘付けになっている。
フェラチオをしている間に自身も興奮しているとこに気付いたが、ここまでとは思わなかった。さらされた性器はじっとりと濡れていて、少し力を込めるだけで中から愛液が垂れそうになる。
「ドクター……」
耳元で囁きながら、熱り立った肉棒を穴の方へと誘導する。手を使うまでもなく、入り口にあてがうだけで、肉棒はずぶずふとグレイディーアの中へ飲み込まれていく。
「うあ……っ、グレイディーア……っ」
「ああっ……、凄い……。あんなに達したのに、この硬さ……。躰の中を貫かれているようですわ」
ペニスを挿入したことにより、疼いていた躰が若干落ち着くのを感じたが、腰をぴったりとドクターに付けた時には疼きは再びやってきた。奥の壁をぐいぐいと押し退けようとする肉棒、腰を少し動かすと、ポルチオが刺激され、余裕がなくなっていく。
「んん、んっ……。ドクターは、素晴らしいモノを、お持ちなのね……。私の躰を、こんなに悦ばせることが出来るなんて……。はぁっ、あぁッ……」
腰が勝手に動いてしまう。膣を締め付けながら腰を上げ、力を抜きながら腰を落とす。深くゆっくりと。ペニスが膣の中に埋もれる度、躰の奥にある疼きを散らしてもらえるような気がして、何度も何度もドクターに腰を打ち付ける。
「グレイ、ディーアっ。ああっ、すごい……中、気持ち、いいっ……」
「私も、とても気持ち良いですわっ……。ああ、ドクター、……ドクターっ……」
ギシギシとベッドを軋ませながら、夢中になって腰を振った。
自分がこんなに男性を、ドクターを求めていたとは思わなかった——
ドクターはぎゅっと目を瞑り、唇を噛み締めている。懸命に耐えるドクターが可愛らしく、そして嬉しかった。今、ドクターは自分の中で耐えているのだと思うと、不思議な感覚になる。
「ごめ、もう、
グレイディーアの腰を掴みながら、苦しそうな声を漏らす。
「ええ、宜しくてよ。私の
「——ッッ!ぐぅっ!——あっ、でっ——」
ドクターの腰がグレイディーアに押し付けられる。
勢いよく飛び出した精液は、グレイディーアの
「——っ、はあっ!はあ!」
「ああ……、ドクター……。私の膣内で、達してくださったのね……。気持ちよかったですか?」
膣を軽く締め付けながら、ドクターの頬を撫でる。
些細な動きひとつで、ドクターの躰はいちいち反応してくれるのが、たまらなく嬉しい。
腰を上げ、ペニスを引き抜く。ずるんと出てきたペニスと一緒に、濃く白い液体が膣内からこぼれ落ちた。
白濁液と愛液にまみれたペニスは、とても美味しそうで——
自分でも気付かぬうちに、汚れたドクターの腰回りに口を付けていた。陰嚢まで垂れた精液を舌で掬い、陰茎に纏わりついた分も舐めとる。何度も何度も舌を這わせ、下腹部にあった精液も残らず喉の奥に流し込んだ。尿道口から滲み出る精液も吸い取り、満足したところで、ペニスが再び硬くなっていることに気がついた。
「ドクター、本当に元気ですわね。また——」
もう一度跨ろうとした瞬間、ドクターは勢いよく起き上がってきた。肩を掴まれ、そのまま押し倒される。
グレイディーアにとって、ドクターの力など赤子のそれであった。ドクターが一般男性の中で非力な訳ではない。今もこうして掴まれた肩は、しっかりと力が込められている。押し倒されたのは、抵抗する必要を感じなかったから。こんな風に、ドクターがグレイディーアを押し倒すなんて、ちょっとした憧れもあったのだ。
「……なんで、こんなことするんだ」
その顔は辛そうだった。今にも泣きそうな、そんな顔。
「お、俺は……、こんな風に、グレイディーアと、したくなかったよ……」
「……」
苦しそうな声が胸に刺さった。
ドクターは顔を伏せ、言葉を続ける。
「……俺、グレイディーアのこと、ちょっと良いなって、思ってたんだ……。綺麗だし、仕事だって任せられるし……。それだけじゃなくて、なんか、つい目がいっちゃうんだ。グレイディーアを見つけると、嬉しくなるんだ……」
「……ドクター……」
顔を上げたドクターの眉間には、まだ皺が寄っている。だが、先程のような悲痛さは感じない。何かを決意したかのような——
「グレイディーアが、好きなんだ……。その、一人での女性として……、好きだ」
そう言われて、少しだけ驚いた。
そんな風に想われていたとは露にも思わなかった。
「それは、気付きませんでしたわね……」
「そりゃ、気付かれないようにしてたし……」
沈黙。
こんなにストレートに好意を打ち明けられるとは思っておらず、言葉が出てこない。
こんな感覚は、初めてだ。
「ぐ、グレイディーアは、どう、なの?」
控えめな問いに、思わず顔が綻んでしまった。なんと可愛らしい——
「ふふ、もちろん、お慕い申していますわ、ドクター。でなければ、貴方を受け入れるなど、しませんわ」
ドクターの顔が、ぱっと晴れた。
笑顔になったわけではないが、目の見開き方や眉の動きで、嬉しそうにしているのがわかる。
「グレイディーア」
ドクターはグレイディーアの頬を撫でると、優しく唇を重ね合わせて来た。そして直ぐ離れて「ああ、掃除してもらったんだった……」と、少しだけ落ち込んだ。
本当に、一つ一つの行動が愛らしい。